無断駐車をしてしまい、戻ってきたら自分の車が別の車に塞がれて出られなくされた…。
そんな状況に直面すると、驚きと焦り、そして「どうしたらいいのか」という不安が一気に押し寄せてきます。
もちろん、無断駐車をした時点で自分に非があることは間違いありません。
しかし、相手の行為もやりすぎなのでは？と感じる人も少なくないでしょう。
本記事では、自分が無断駐車をして出られなくされた場合にどう対応すべきか、法律的な観点や正しい行動について分かりやすく解説していきます。
無断駐車で出られなくされた状況はどう扱われる？
無断駐車をしてしまい、戻ったときに自分の車が塞がれて出られなくされた場合、まず前提として責任の中心は無断駐車をした側にあることを理解する必要があります。
私有地や契約駐車場への無断駐車は、不法行為として損害賠償請求を受ける可能性があり、法的にも正当化されるものではありません。
しかし一方で、相手の行動がすべて許されるわけではなく、「車で塞ぐ」というやり返しの手段にもリスクが存在します。
ここでは双方の立場を整理してみましょう。
無断駐車をした側の責任
無断駐車は「迷惑行為」や「マナー違反」というレベルを超え、法的には不法行為（民法709条）に該当します。
駐車場の所有者や管理者は、無断駐車によって本来の利用が妨げられた場合、損害賠償を請求できる立場にあります。
さらに、月極駐車場やマンション駐車場などのケースでは、管理会社や住人との信頼関係を大きく損なう行為となり、社会的な責任も小さくありません。
したがって「出られなくされた」と感じたとしても、根本的な原因は自分の無断駐車にある点を冷静に認識する必要があります。
相手が車を塞いだ行為は合法？
一方で、無断駐車をされた側が感情的になり「相手の車をブロックして出られなくする」という手段を取った場合はどう扱われるのでしょうか？
確かに心理的には理解できる部分もありますが、法的には正当防衛にはあたらないとされています。
完全に出られないように塞ぎ続けると、場合によっては「不法行為」や「監禁に近い状態」とみなされるリスクも否定できません。
つまり、無断駐車をした側は責任を負う一方で、塞いだ側の行為も必ずしも正当とは言えないのです。
出られなくされたときの正しい対応
無断駐車をして出られなくされたときは、「どうすれば解決できるか」に意識を向けることが大切です。
謝罪や管理者への連絡など、相手との摩擦を減らしながら車を動かせるようにする手順を踏むことで、トラブルを大きくせずに収束できます。
まずは冷静に謝罪を
最初にすべきことは、駐車場の所有者や管理者、あるいは居住者に対して真摯に謝罪し、車を移動させたい意思をしっかり示すことです。
「すぐに移動します」と誠意を持って対応すれば、相手の怒りも和らぐ可能性があります。
警察に相談できるケースもある
無断駐車そのものは民事トラブルとされることが多いですが、「出られなくされた」という状態は場合によって通行妨害や不当な監禁に近い状況とみなされることもあります。
どうしても相手と連絡が取れず、車を動かせない状況が長引くようであれば、警察に相談することも選択肢のひとつです。
ただし、根本的な原因が自分の無断駐車にある以上、全面的に警察が味方してくれるとは限りません。
あくまで「円滑に解決するための第三者介入」と考えるべきでしょう。
証拠を残しておく
トラブルがこじれる可能性もあるため、現場の写真を撮っておくことも有効です。
自分の車がどのように塞がれていたかを記録しておけば、万一のトラブル時に状況説明の助けになります。
特に駐車場管理者や警察に相談するとき、証拠があるかないかで対応の仕方が変わることも少なくありません。
やってはいけないNG行動
「出られなくされた」という状況に直面すると、つい感情的になってしまうものです。
しかし、焦りや怒りのまま誤った行動をとると、事態はさらに悪化し、自分が加害者になってしまう危険があります。
ここでは、避けるべき代表的なNG行動を紹介します。
相手に逆ギレ・無理やり車を動かす
無断駐車をしていた自分に非があるにもかかわらず、「出られなくされたのはおかしい！」と逆ギレしてしまうのは最悪のパターンです。
トラブルがエスカレートして暴力沙汰になれば、刑事事件に発展する可能性もあります。
また、相手の車にぶつけて無理やり車を動かそうとすると、器物損壊や過失による損害賠償のリスクが生じます。
SNSなどに投稿して晒す
最近では「迷惑行為をSNSに晒す」という行動をとる人もいますが、これは絶対に避けるべきです。
たとえ相手が強硬な手段を取ったとしても、無断駐車をした自分の過失を免れることはできません。
さらに、ナンバープレートや車両を特定できる形で投稿すると、名誉毀損やプライバシー侵害で逆に法的責任を問われる恐れもあります。
長時間放置して事態を悪化させる
「どうせ相手が悪い」と開き直ってそのまま車を放置するのもNGです。
時間が経てば経つほど相手の怒りは増し、管理会社や警察を巻き込む大きなトラブルに発展します。
少しでも早く状況を改善しようと行動することが、事態をこれ以上こじらせないための第一歩です。
今後同じ事態を避けるために
無断駐車をして出られなくされた経験は、誰にとっても二度と繰り返したくない苦い出来事でしょう。
では、無断駐車によるトラブルを防ぐために、具体的にどのような対策を取るべきか整理してみましょう。
無断駐車はしないのが大前提
まず何よりも、「無断駐車をしない」ことが大前提です。
自分は少しのつもりでも、所有者からすれば権利を侵害されている重大な問題です。
違法性や損害賠償リスクだけでなく、地域での信用や人間関係を損なう要因にもなります。
停める場所に困ったときは、必ず有料駐車場や時間貸しパーキングを利用しましょう。
短時間の一時駐車と無断駐車は全くの別物
「ほんの数分なら大丈夫」と思って路肩やコンビニ駐車場に停める人も少なくありません。
しかし、短時間の一時駐車と無断駐車は根本的に違います。
たとえ数分でも、利用目的外の場所や私有地に勝手に車を置くのは無断駐車に該当し、トラブルの火種になります。
トラブルを防ぐ心がけ
無断駐車を避けるのは当然ですが、トラブルを未然に防ぐ心がけも大切です。
時間に余裕を持って移動すれば「ちょっと停めたい」という誘惑に駆られにくくなりますし、事前に周辺のコインパーキングを調べておくのも効果的です。
さらに、カーシェアや公共交通の利用など、「停める場所に困らない選択肢」を日常に取り入れることで無断駐車のリスクから解放されます。
まとめ：「無断駐車しない」ことが最大のトラブル回避
塞がれて出られない状況ではつい感情的になりがちですが、根本的な原因は自分の無断駐車にあります。
だからこそ、まずは冷静に謝罪し、管理者や警察に相談して適切に解決することが大切です。
相手のやり返し行為にも問題はありますが、そこで逆ギレや強引な対応をすれば、さらに大きなトラブルに発展しかねません。
この経験を教訓として、今後は無断駐車を避け、時間に余裕を持った行動や駐車場所の事前確認を徹底しましょう。
トラブルを未然に防ぐ意識こそが、自分自身を守る一番の方法です。
