私有地に無断駐車をされると、「出られなくしてやりたい」と思うほど腹が立ちませんか?
警察に通報しても「民事不介入」とされることが多く、私有地の場合は、罰金や即時のレッカー移動もできないため、モヤモヤした気持ちは強まっていきます。
そこで「自分の車でふさいでしまえば、もう二度と止めなくなるのでは?」と考える人も少なくありません。
しかし、実際には法的なリスクがあり、逆にトラブルを大きくする可能性もあります。
この記事では、私有地での無断駐車を「出られなくする」行為が本当にアリなのかを解説し、正しい防止策や対応方法を紹介します。


無断駐車されると「出られなくしたい」と思う心理

自分の私有地や契約している駐車場に勝手に車を停められると、誰だって腹が立ちます。
警察に通報しても「民事不介入」と言われるだけで、特に私有地では罰金や即時レッカーといった強い手は簡単には使えません。
結局、やられ損のように感じてしまい、「それなら出られなくして困らせたい」と思うのも自然な流れでしょう。
ただ、感情のままに動くと逆に大きなトラブルを招く危険もあります。
さらに厄介なのは、無断駐車する側には
「ちょっとの間ならバレないだろう」
「すぐ戻るから問題ない」
といった軽い気持ちしかないことです。
こちらの迷惑や不快感などまったく考えていないケースが多いため、被害者側の怒りはより強くなります。
だからこそ「強硬策で思い知らせたい」という衝動が生まれるのですが、そこにこそ落とし穴が潜んでいるのです。
出られなくするのは危険?私有地での法律的なリスク

威力業務妨害や不法行為に問われる可能性
私有地であっても、車をふさいで動けなくする行為は、単なる仕返しで済まない場合があります。
相手が仕事に遅れたり予定に影響すれば「威力業務妨害」と見なされる可能性があり、民事では「不法行為」として損害賠償を請求されるケースも考えられます。
つまり、もともと被害者であるはずの立場が、相手から「違法に妨害された」と訴えられる側に変わってしまう危険性があるのです。


監禁や脅迫に発展するケースも
相手を物理的に閉じ込める形になるため、私有地であっても「監禁に近い行為」と判断されるリスクも否めません。
さらに、ふさいだ際に強い言葉を投げかければ「脅迫」として扱われる恐れすらあります。
最初は私有地に無断駐車された正当な怒りから始めたつもりでも、相手が警察を呼べば状況は一変。
「無断駐車をされたのに、なぜか自分が加害者に…」という逆転劇は実際に起こり得ます。
感情的に出られなくするのは、非常に危うい選択といえるでしょう。
私有地で無断駐車されたときの正しい対応方法

警察に通報して記録を残す
私有地で無断駐車をされたとき、まず頼れるのは警察です。
ただし「すぐレッカーしてくれる」と期待すると肩透かしを食らいます。
実際には「民事不介入」で動かないケースがほとんどだからです。
ですが、通報して警察に状況を記録してもらうことには大きな意味があります。
後日トラブルが長引いた際に、通報履歴や警察官の確認記録が証拠となり、私有地での無断駐車に法的な対応を取るときの材料になるのです。
感情的に仕返しをするより、まずは冷静に通報して“記録”を残しておきましょう。
管理会社・オーナーを通す
月極駐車場や店舗前での無断駐車なら、まずは管理会社や土地のオーナーに連絡するのが正しい手順です。
契約者や所有者の立場から動いてもらうことで、警告や撤去の要請もスムーズに行えます。
個人が勝手にふさぐなど強硬策を取るとトラブルに発展しやすいですが、管理者が対応すれば「正式な手続き」として扱われやすいのです。
無断駐車に腹が立っても、第三者の立場から注意してもらう方が、余計なリスクを避けられます。
看板や掲示で予告する
無断駐車を防ぐには、あらかじめルールを明示しておくことが効果的です。
たとえば
「無断駐車は〇〇円請求します」
「発見次第、管理会社へ通報します」
といった看板や掲示を出すだけでも抑止力になります。
これは後に損害賠償を請求する際の根拠にもなりやすく、ただ感情的に注意するよりもはるかに有効です。
無断駐車する人の多くは「バレないだろう」と軽い気持ちなので、はっきりと警告を示しておくことで、再発防止につながります。
防止策を導入する
無断駐車を根本的に防ぐなら、物理的な対策を導入するのが一番確実です。
チェーンポールやロック板を設置すれば、勝手に入り込む余地を与えませんし、防犯カメラを設置すれば証拠が残るため心理的な抑止力にもなります。
最近では「警告ステッカー」を貼り付ける簡易的な対策もありますが、トラブルを避けるため事前に掲示しておくのが望ましいです。
感情的に仕返しをするのではなく、こうした防止策を先に打っておく方が安心して駐車スペースを守れます。
まとめ:感情的な仕返しより正しい対応を選ぼう
私有地で無断駐車をされると腹が立ち、「出られなくしてやりたい」と思う気持ちは自然なものです。
しかし、実際にふさいでしまうと法的に不利な立場に立たされ、被害者のはずが加害者扱いになる危険があります。
だからこそ大切なのは、感情的に仕返しするのではなく、正しい手順と防止策を知って冷静に対応することです。
警察への通報や管理会社への相談、掲示による警告や物理的な対策を組み合わせれば、余計なトラブルを抱え込まずに済みます。
怒りに任せた行動よりも、先を見据えた対策こそが安心を守る一番の近道です。

