11月18日、FIFAランキング19位の日本代表が、76位につけるボリビアと国立競技場で親善試合を行います。
このくらい差があるカードでは、たとえ順当に勝ってもランキングの加点はごく小さく、逆に取りこぼせば数字がはっきり下がる、そんな特徴があります。
FIFAの計算構造をふまえると、ボリビアがW杯から長く遠ざかっていながら70位台にとどまっている理由にも注目しておきたいところです。
たとえば同じ70位台の中には、2000年以降4度W杯に出場しているガーナ(73位)もいます。
にもかかわらず、南米で強豪と当たり続けているボリビア(76位)とガーナでは、実力感とFIFAランクがなぜ一致していないのでしょうか?
この記事では、「勝っても伸びにくい」計算の仕組みと、ボリビア特有のランクが落ちにくい構造について整理しながら、試合の位置づけを深掘りしていきます。


ボリビアに勝利してもランクは動かない?日本にとってリスクある一戦

2025年11月3日現在、日本はFIFAランキングで19位、ボリビアは76位につけています。
FIFAの計算式では、格上チームが勝つ前提でポイントの変動幅が設定されているため、日本がこの試合で勝利しても、加点はごくわずかにとどまります。
さらに今回は親善試合であるため、W杯予選や大陸選手権のような高い係数(重みづけ)も適用されません。
スコアが3–0でも1–0でも評価はほとんど変わらず、いずれにしてもFIFAランクが大きく動く展開は期待しにくいのが実情です。
一方で、もし引き分けや敗戦となれば「19位が76位に取りこぼした」と評価され、親善試合であってもポイントの減少幅が大きくなるリスクがあります。
つまりこのカードは得られるリターンよりも、失ったときのリスクのほうが大きく響く試合だと言えるでしょう。
ボリビアはW杯に出られずとも、なぜFIFAランク80位前後を保てるのか?

ボリビアは長らくW杯本大会から遠ざかっていますが、FIFAランキングでは現在も80位前後を維持しています。
この背景には、南米という地域特有の対戦環境や順位が下がりにくい構造が大きく関係しています。
ここでは、そうした要素をいくつかに分けて整理していきます。
敗戦が続いてもランクが下がらない?南米予選の対戦構造とは
ボリビアのW杯本大会出場は、1930年・1950年・1994年の3回にとどまっています。
2000年以降は一度も出場できていませんが、それでもFIFAランキングで極端に順位を落とすことはありません。
その理由のひとつが、南米予選の過酷な対戦環境にあります。
ボリビアは、ブラジルやアルゼンチン、ウルグアイ、コロンビアといった強豪国と、常に公式戦で当たり続けています。
FIFAランキングは「もともと勝率が低い試合での敗戦はマイナスが小さい」という計算式があるため、こうしたカードを多く戦うだけでもポイントの急落は起きにくくなります。
つまり「勝って上がっている」のではなく、「下がりにくい環境にいるから落ちにくい」。それが76位という現在の順位を支えている構造です。
W杯常連のガーナと未出場が続くボリビア なぜFIFAランクは近いのか?
一方のガーナは、2006年ドイツ大会、2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、そして2022年カタール大会と、2000年以降だけでもW杯に4度出場しており、そして今回の2026年大会でも、堂々と出場権を勝ち取りました。
こうした現状を見ても、ガーナとボリビアの実力が並んでいるとは言い難く、選手層や経験値の面で明確な差があるのは明白です。
それにもかかわらず、FIFAランキング上ではガーナが73位、ボリビアが76位と、数字上ではほぼ同等の位置に並んでいます。
この背景には、アフリカでは、FIFAランキングで下位に位置する国との対戦が多くなる傾向があり、ガーナが勝っても評価の高い白星としては扱われにくい仕組みになっています。
つまり、ガーナは「勝ち続けても伸びにくい」、ボリビアは「結果が出ていなくても落ちにくい」。
同じ70位台でも、そこに至るまでのプロセスはまったく異なっており、その違いを理解したうえで比べることが大切です。


標高約3,600mのボリビアホーム戦がつくる隠れた優位性
ボリビアがホームとしてよく使うラパスは、標高およそ3,600mに位置しており、場合によっては4,000mを超えるエル・アルトで試合を行うこともあります。
ここまで高度が上がると、さすがの南米強豪でも運動量が落ち、試合中にボリビアが主導権を握る時間帯が生まれます。
この時間帯に引き分けや1勝を拾えると、その一試合が年間のFIFAポイントの底上げにつながっていきます。
「高地での1勝が年間で効く」というのは、ボリビアならではの環境的な事情です。
アジアで中立地や比較的均質な気候で戦う日本とは、根本的に条件が異なります。
こうした複数の要因が重なることで、ボリビアは負けが多くても一気に順位を落とさず、70位台にとどまって見えるのです。
ボリビア戦は控え組のターン?起用バランスが試される一戦

ガーナ戦から中3日で迎えるこのボリビア戦は、選手の起用バランスに注目が集まります。
FIFAランキング76位という格下との対戦だけに、一部の主力を休ませてテスト色を強める判断も現実的な選択肢です。
実際、親善試合では「誰にどこで経験を積ませるか」が、チーム編成を考えるうえで避けて通れないテーマになります。
ただし、ガーナ戦で試す予定の組み合わせや構造を続けて再現するには、ある程度は主力の続投も必要になってきます。
加えて、今回は日本開催ということもあり、一定の結果や内容を求める空気感があるのも事実です。
もしテスト重視に振りすぎて内容が散漫になれば、FIFAポイント以上に、戦術の評価やファンの信頼に影響を及ぼしかねません。
だからこそ、ボリビア戦は「控え主体のターン」と割り切るのではなく、「構造の再現性を保ちながら、部分的に入れ替える」ほうが理にかなっています。
選手の消耗と積み上げのバランスをどう取るか。その判断が、この試合を価値ある一戦にできるかどうかの分かれ目になります。
まとめ:実力とFIFAランクは別物 ボリビア戦が映す構造のズレ
今回の日本×ボリビアは、「FIFAランキング19位の日本が76位のボリビアと対戦する」ランキング差が際立つ一戦です。
このため、たとえ日本が順当に勝利しても、ランキング上で大きな加点は期待しづらく、逆に引き分けや敗戦となれば、親善試合でも数字がはっきり下がる可能性があります。
一方のボリビアは、南米で強豪国との公式戦を多くこなしていることや、高地でのホーム環境を活かして時折勝ち点を拾える点などから、FIFAランキングが落ちにくい仕組みの中にいます。
さらに、アフリカ勢のように「勝ち続けても伸びにくい」試合評価の仕組みと重なり、見た目の順位が近くなるケースも少なくありません。
FIFAランクは、勝てば必ず上がるわけでもなく、順位が近いからといって実力も同じとは限らない。
この試合をどう評価するかは、そうした数字と実力のズレを理解したうえで見ていくことが大切です。

