車を持つ上で、定期的な整備は欠かせません。
しかし、整備士からの提案が本当に必要なものなのか、疑問に思ったことはありませんか?
未だ過剰整備の問題が消えることはなく、身近に存在しているということは決して他人ごとではありません。
この記事では、過剰整備の実例や注意点、整備士の提案の受け止め方や整備の見分け方について詳しく解説します。
車の過剰整備とは何?初心者にもわかりやすく解説

過剰整備とは「必要以上のメンテナンス」のこと
「車検の見積が20万円越え!?」
「この整備、本当に必要?」
と思った事はありませんか?
過剰整備とは、必要以上の整備や部品交換を行うことを指します。
これにより、顧客は不必要な費用を支払うことになり営業マンや整備工場の利益が優先されることがあります。
車検で本当に必要な項目は限定的で、多くの「推奨整備」は必須でないことは多々あります。
代表的な過剰整備の例
1. オイル交換の頻度が多すぎる
推奨基準:
最近のエンジンでは、5,000~10,000kmごとまたは6ヵ月~1年ごとが一般的(※取扱説明書にも記載)。
→ 一部のディーラーや整備工場では「3,000kmごとに交換を」とすすめてくるケースも。
実態:
・昔の車(10年以上前)では有効だった
・現代の合成油エンジンでは必要なし
・早すぎる交換=お金のムダ
2. バッテリーの「定期交換」提案
推奨基準:
アイドリングストップ車などでない限り、バッテリーは3〜5年程度は持つとされています。(GSユアサやパナソニック等のメーカー情報)
実態:
・点検時に「電圧が少し低いから交換を」と言われるが、始動に問題なければ経過観察でOK
・実は充電すれば復活するケースがほとんど
3. エアフィルターやワイパーゴムの早期交換
推奨基準:
エアフィルターは15,000km〜20,000kmで交換が目安(トヨタなどの整備指針より)
ワイパーゴムも半年~1年に1回が推奨されるが、使用状況で判断する方が望ましい。
🛠 実態:
・エアフィルターが「うっすら汚れてる」だけで即交換を提案される
・ワイパーゴムは拭き取り性能に問題がなければまだ使える
・フィルターは掃除で延命可能な場合もある
4. ブレーキパッドの早期交換
推奨基準:
残量が3mm以下になると交換推奨(整備マニュアルに明記)
目安としては1mmの減りで1万km走行できると言われている。
実態:
・「5mmあるけど不安だから替えておきましょう」と言われるケース
・まだ十分残っているのに交換をすすめられる=早すぎてムダ
5. オートマチックオイル(ATF)の頻繁な交換
推奨基準:
多くのメーカーは無交換
(例:トヨタはCVTフルードは「基本無交換」、ホンダも同様)
実態:
・「2~3万kmごとで交換を」と言われる
・逆に、頻繁な交換がトラブルを起こすこともある(ATFは性質が変わるため)
なぜ過剰整備が行われるのか?

過剰整備が生まれる背景には、整備業界の構造的な問題があります。
収益構造の問題
- 車検の基本料金だけでは利益が薄い
- 部品交換や追加整備で利益を確保する必要がある
- 営業マンの売上目標が設定されている
営業ノルマとディーラーのビジネスモデルが過剰整備を生み出す?
営業マンは、売上を上げるために必要以上の整備を提案することがあります。
整備士も営業マンのノルマに影響され、過剰整備を行うことがあるため、現場の整備士が被害者になることもあります。
「点検ついでに〇〇も交換しておきましょう」は、その裏に「目標のノルマ」や「成績順位」が絡んでいることもあります。
メーカー指定=絶対ではない理由
整備記録簿にある「推奨交換時期」はあくまで目安程度に考えておいた方がよいでしょう。
もっとつっこんだ事を言うと、その時期が来たからはい壊れます、というものでは絶対にありません。
実際の使用状況や走行距離に応じて判断すれば、まだ使える部品を交換せずに済みます。
ディーラーによる過剰整備の実例を紹介
ディーラーで車検の見積もりをとると42万円と言われた、とんでもない動画がありました。
過剰整備とはどんなものなのかがよくわかる内容となっていましたので、是非参考にしてみてください。
動画内ではディーラー車検の見積書を見て、実際には必要ない(意味が分からない)ものが半分ぐらい入っていたとおっしゃっています。
業者によってはこのような事がおこりうるのでキチンとした判断できないと大変なことになります。
営業マンの「巧妙な提案術」を見破る方法

よく使われる営業トーク集
整備工場や ディーラーでよく聞く営業トークには、以下のようなパターンがあります。
1. 不安を煽る系
- 「このまま乗り続けると危険です」
- 「他のお客様は皆さん交換されています」
- 「次の車検まで持たないかもしれません」
2. お得感を演出する系
- 「今なら工賃サービスです」
- 「セットで交換すると安くなります」
- 「次回交換すると倍の費用がかかります」
3. 専門用語で煙に巻く系
- 複雑な専門用語を並べて判断を急かす
- 「法律で決まっているので」(実際は推奨レベル)
冷静な判断をするための質問術
営業トークに惑わされないために、以下の質問を投げかけましょう:
具体的な状況確認
- 「具体的にどの部分がどう悪いのですか?」
- 「写真や実物で状態を見せてもらえますか?」
- 「車検に通らない理由は何ですか?」
代替案の提案
- 「次回の車検まで様子を見ることはできませんか?」
- 「中古部品やリビルト品での対応は可能ですか?」
- 「必要最小限の整備だけで車検を通す場合の見積もりは出してもらえますか?」
優良な整備工場なら、これらの質問に対して丁寧に説明してくれるはずです。
関連記事:過剰整備を初心者でも見分けられる「回避術」と「対応術」

知識ゼロでも大丈夫!初心者向けの判断ポイント

車検と12ヶ月点検の違いを知る
車検は法的義務、12ヶ月点検は任意。
「全部任せた方が安心」という思い込みが、余計な整備につながるケースもあります。
セカンドオピニオン
2-3社から見積もりを取りディーラーと比較してみましょう。
民間で見積書を出してもらう際、ディーラーの見積書の中に高額な部品交換や不明な項目があればその必要性を聞いてみてもいいと思います。
過剰整備をしない善良な民間業者であれば、的確なアドバイスをしてくれるお店もあります。
ディーラーと町の整備工場、複数の視点を持つことで過剰整備のリスクを減らせます。
よくあるQ&A
Q. 整備を断ると車検に影響しますか?
A. 法令で定められた整備項目以外の断りで車検不合格になることはありません(国土交通省ガイドライン)
Q. 過剰整備を疑った時の相談窓口は?
A. 消費者ホットライン(電話番号:188)
まとめ:必要な整備と過剰整備、賢く見極めよう
整備は「多ければ安心」ではなく「適切であること」が大切です。
整備の提案には背景(営業ノルマ)があるかもしれません。
自分の判断軸を持つことで、大切な愛車とお財布を守りましょう。
今回の記事のポイントを押さえれば、過剰整備に巻き込まれることとはおさらばです。
安心と納得のカーライフを一緒に目指しましょう!
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