復活した「プレリュード」は、懐かしさだけで選ぶと失敗しかねないモデルです。
高めの価格帯や維持費の負担に加え、販売計画が300台と少数に絞られているため、事前にポイントを押さえておく必要があります。
e:HEVの強みは普段使いでの滑らかさと快適性ですが、積載性やランニングコストは冷静に見極めなければなりません。
この記事では、発売初期ならではのチェックポイントを整理し、買う前に知っておきたい要素をわかりやすく解説します。
迷う時間を減らし、後悔しない選び方に変えるためのヒントを詰め込みました。
さらに、競合車との比較で見落としがちな“落とし穴”にも触れていきます。
新型プレリュードを買う前に押さえるべき3つのポイント
新型プレリュードの価格と購入方法（Honda ON限定を含む）
新型プレリュードの価格は 約617万円〜 と発表されています。
購入方法は大きく分けて 一般販売店での通常販売 と、オンライン販売サービス「Honda ON」での販売があり、Honda ON では限定モデルが設定されています。
価格帯からするとGR86やフェアレディZより上、スープラに近いポジションであり、「懐かしさで選ぶ」には高額です。
入手ルートの違いを踏まえたうえで、購入計画をどう立てるかが次のポイントになります。
月販計画300台が示す納期と値引きの現実
メーカー公表の月販計画は300台とかなり絞られており、これは「需要を見極めながら供給を制御する」戦略と考えられます。
台数が少ないため、当面は納期が長期化しやすく、ディーラーの裁量での大幅な値引きは期待しにくいでしょう。
一方で、希少性が維持されやすく、中古市場での価値が落ちにくい点はプラス材料となります。
つまり「すぐ乗りたい人」には不利ですが、「長期で価値を保ちたい人」にはメリットもあります。
初期ユーザーにあるメリット・デメリット
発売初期に契約するユーザーは、話題性や注目度の高さを享受できます。
新しいデザインやブランド復活の空気感をいち早く味わえるのは魅力です。
ただし、初期ロット特有の細かな不具合や、後の改良モデルとの装備差で不満を抱く可能性もあります。
さらに、試乗車や実車の情報が限られる中で判断せざるを得ないため、情報不足による後悔のリスクが高いのも事実です。
期待とリスクを天秤にかけ、自分の目的に合うか冷静に考える必要があります。
購入前に押さえておきたい実用性と維持コスト
乗降・視界・積載から見るプレリュードの実用性
プレリュードは2ドアクーペらしい低いスタイルを持ち、見た目の魅力は大きい一方で、乗降のしやすさや後席スペースは限定的です。
後方視界もセダンやSUVほど広くなく、駐車や車線変更時には慣れが必要になります。
トランク容量も9.5型のゴルフバッグ2個を積載可能と必要十分ではあるものの、さらに大きな荷物を頻繁に運ぶユーザーには不向きです。
普段の生活をどのように車に委ねるかを前提に「実用性より趣味性の比重が強い」モデルだと理解しておくことが欠かせません。
購入後にかかる維持費に注意！
車両価格が600万円を超えるため、自動車税・保険料も相応に高くなります。
さらに19インチのタイヤサイズを採用しているため、交換費用はコンパクトカーの倍近くに及ぶケースもあります。
ハイブリッドの燃費性能はWLTC燃費23.6 km/L（実燃費16〜19 km/L）と優秀ですが、ガソリン代の節約効果で高価格を相殺できるほどではありません。
購入後の3〜5年で必要となる保険や消耗品の総コストを事前に試算しておくことで、予算オーバーや後悔を防ぐことができます。
他のスポーツカーとの比較（86／Z／スープラ）
GR86やフェアレディZ、スープラと比較すると、プレリュードは「走りの鋭さよりもバランス型」といえます。
日常的に扱いやすく、通勤や買い物でも違和感なく使える一方、サーキット走行や純粋なドライビングの刺激を求めるなら他車に分があります。
家族やパートナーと共に楽しむ前提なら、e:HEVの滑らかさを活かした静粛性や快適な乗り心地が大きな魅力になります。
つまり「趣味100％」ではなく「日常6：趣味4」くらいの感覚で検討するのが現実的です。
ライバル車と比較して分かるプレリュードの立ち位置
GR86・フェアレディZ・スープラと比べた走りの特徴
GR86は軽快で安価、純粋に「走りを楽しむ」ことに特化しています。
フェアレディZは大排気量ターボによる豪快な加速が魅力で、走行性能のインパクトは強烈です。
スープラは高級志向とスポーツ性能を兼ね備えた存在で、長距離ドライブやサーキットでも存在感を示します。
一方プレリュードは、これらの「尖った特徴」とは異なり、快適性や扱いやすさを重視したバランス型です。
「刺激が少ない＝退屈」と誤解しやすいですが、日常性とスポーツ性の両立を求める層には大きな強みとなります。
同価格帯ハイブリッド車との違いと棲み分け
同じ600万円前後のハイブリッド車には、クラウンスポーツやアコードe:HEV、レクサスNX350hといったモデルがあります。
これらはSUVやセダンをベースに、広い室内や荷室、快適性、安全装備といった「日常の実用性や上質さ」を重視しています。
ただし「走りを楽しむ」という観点ではプレリュードのほうが圧倒的に上であり、購入動機が“快適かつ楽しめるドライビング”なら棲み分けは明確です。
実用か趣味か、自分の価値基準を整理せずに選ぶと、後で「思っていたのと違う」と感じやすい点が落とし穴になります。
試乗前に必ず決めておきたい3つの条件
自分の走らせ方を明確にする
試乗前に最も大切なのは「自分がどんな走りを求めているのか」を言葉にしておくことです。
通勤メインなのか、週末ドライブ中心なのか、サーキット走行も視野に入れるのかで、重視すべきポイントは変わります。
曖昧なまま試乗すると、営業担当者の説明や一時的な印象に流されやすくなり、後で「違った」と後悔しかねません。
まずは走り方の比重を整理し、それを基準に判断することが大切です。
優先順位を決めておく
車選びはあれもこれも欲しくなりがちですが、優先順位を3つに絞ってから試乗すると判断がぶれません。
例えば「静粛性＞走行性能＞積載性」と決めていれば、実際の体感をその軸で評価できます。
優先順位を固定しないまま乗ると、細かな違いに惑わされて結論が先延ばしになることもあります。
あらかじめ「自分にとって絶対に譲れない条件」を決めておくことで、試乗の時間を有効に使えます。
確認すべきポイント
可能であれば2回目の試乗を行い、初回では気づきにくかった細部を確認することをおすすめします。
- 停止から発進のつながり
踏み込みに対して自然に加速するか、ギクシャクしないか。 - ブレーキフィール
回生ブレーキから摩擦ブレーキへの切り替わりがスムーズか。 - 段差や継ぎ目の収まり
衝撃の伝わり方や揺れの収束具合を体感できるか。 - 一定速巡航時の静粛性
ロードノイズや風切り音が気にならないか。 - ステアリングの感覚
直進安定性やハンドルの戻り具合が自然かどうか。
チェックシートを用意して項目ごとに○△×を付ければ、感覚に流されず客観的に判断できます。
購入後の満足度を左右する細部こそ、2回目でしっかり押さえることが重要です。
まとめ：プレリュードで後悔しない選び方
プレリュードは、懐かしさだけで選ぶとリスクを抱えやすいモデルです。
価格や購入方法、月販計画の現実を踏まえたうえで、実用性と維持費を冷静に見極めることが欠かせません。
競合車との比較では「快適性と日常性を兼ね備えたスポーツクーペ」という独自の立ち位置が強みです。
試乗では走らせ方や優先順位を明確にし、チェックシートを用いて感覚を整理することが有効です。
最終的に「自分の生活に合うか」を基準にすれば、後悔せず満足できる選択につながります。
