「90歳でまだ運転しているなんて危険すぎる!」
高齢ドライバーの事故のニュースを目にするたびに、多くの人がSNSや身近な会話でそう感じています。
しかし「なぜ運転をやめないのか」「家族は何をしているのか」という声の裏には、高齢者を取り巻く現実と、制度の課題があります。
この記事では世間の声を踏まえつつ、90歳でも運転が続けられてしまう背景や問題点、そして具体的にどんな対策が必要なのかをまとめました。
高齢ドライバーの事故が相次ぐ…世間の声は?

最近も続く痛ましい事故の実例
近年も、高齢ドライバーによるアクセルとブレーキの踏み間違い事故が相次いでいます。
例えば2019年の池袋暴走事故では信号を無視して暴走し、母子2人が命を落とすというあまりに悲しい出来事でした。
2021年には兵庫県姫路市で、90歳の男性が運転する車がアクセルとブレーキを踏み間違え、コンビニに突っ込む事故も発生しています。
2023年にも千葉県で、89歳の男性が駐車場で踏み間違え、店舗に衝突し同乗者が負傷するなど
同じような事故が全国で繰り返されています。
高齢ドライバーの事故が繰り返されるたびに、「なぜ防げないのか」という怒りと、「なぜ90歳を過ぎても運転をし続けるのか」という疑問が世間で大きくなっています。
SNSで噴出するリアルな「やめさせろ!」の声
SNSをのぞくと、様々な意見が飛び交っています。
「90歳で運転って、もう車じゃなくて凶器だよ」
「家族はなぜ止めないの?何かあってからじゃ遅いのに」
「免許更新の仕組み甘すぎない?」
「田舎は交通手段がないのも分かるけど、命のほうが大事」
怒りと同時に、「どうしたらやめさせられるのか」というモヤモヤとした不安が多く見られます。
90歳でも運転を続けられる理由

免許更新制度の限界とは?
「なんで90歳でも免許が有効なの?」
そう感じる人は多いでしょう。
現在、日本では75歳以上の運転者は免許更新の際に高齢者講習と認知機能検査を受けます。
この認知機能検査で「認知症のおそれあり」と判断されると医師の診断書を求められ、診断結果によっては免許取り消しになります。
しかし、実際には
- 軽度の認知機能低下は見逃されることがある
- 家族の申告だけでは取り消しにならない
- 更新をパスすれば「自分はまだ大丈夫」と思い込む人も多い
といった現実があります。
地方で“車が必要”な生活事情
さらに地方では、「車がないと病院も買い物も行けない」という人は少なくありません。
バスは1日に数本、タクシーも高額…
結局、車が唯一の“足”になってしまうのです。
高齢になっても運転をやめられないのは決して本人だけのわがままではなく、インフラが整わない地域事情も大きな要因です。
家族だけでは解決できない問題

説得の難しさと家族の苦悩
「家族が何してるの?」と言うのは簡単ですが、
実際には家族だけで説得するのは大変です。
- 免許を返納してと言うと怒鳴られる
- 距離が離れていてなかなか話せない
- 本人が認めたがらない
- 代わりの交通手段が用意できない
こうした背景で、問題を先送りにしてしまう人が多いのです。
家族向けの解決策も知っておこう
もし身近に「やめさせたいけど止められない」と悩んでいる人がいたら、
家族向けの具体的な説得方法を知ることも大切です。
【関連記事】90歳の親が運転をやめない…家族ができる説得法

「批判」だけでは解決しない現実も、ぜひ知ってください。
世間の声で終わらせない!社会全体で考えたいこと

制度と地域交通インフラを見直す必要性
免許更新制度の強化だけでなく、代替交通手段を増やすことが大切です。
例えば
- 予約制のデマンドバス
- シニア向け送迎タクシー
- 地域コミュニティの乗り合い制度
こうした選択肢があれば、「車を返納しても生活できる」という安心感につながります。
【参考リンク:警察庁|運転免許証を自主返納した方への各種特典のご案内について】https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/koureiunntennmatome.html
私たちができる小さな行動
世間の声をあげるだけでなく、私たちにもできることがあります。
- 近所の高齢者が不安なら地域包括支援センターに相談
- 家族や友人に声をかけてみる
- 危険な運転を見かけたら警察に相談する
「事故は防げたかもしれない」と後悔しないよう、一人一人の小さな気づきと行動が大切です。
まとめ|90歳で運転をやめない問題に私たちが向き合うこと
「90歳で運転をやめないなんておかしい!」
その声はもっともだと思います。
でも、ただ怒るだけではなく制度を変える声を届けること、家族や地域の支えを強めることが解決への一歩です。
「自分には関係ない」と思わずに、誰もが被害者にも加害者にもなり得ると心に留めて、
地域と社会全体で支え合える仕組みを広げていきましょう。
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